「これは暴力だ。犯罪行為である」

「(寄稿)こどもの日によせて」

関東地方に住む中学3年生の少女(15)は、昨春、休みの日に付き合っていた同級生の彼の家に遊びに行った。外で会っていると、すぐに友人たちに見つかり、冷やかされてしまう。人目を気にせず、二人っきりでゆっくり話したかった。午前11時ごろ。彼の家に行くと、彼の家族は出かけていた。部屋で話をしていると、話題が途切れた。ちょっと気まずい雰囲気になった。「しない?」そう言われ、ぎょっとした。<えっ?まだ中学生なのに?>。性交するならば避妊具をした方がいい事は知っていた。でも、自分の年齢で責任のとれることではない。<ダメだよ>と思ったが、言葉が出てこなかった。
(太字:「子どもへの性暴力」(2022年2月17日(木)朝日新聞)から)

「ダメ!絶対にダメ!私のこと大切に思っているならだめ!!」声にだしてハッキリと断ろう。さもないと…

彼は「いいだろ」としつこく迫ってきた。

<断ったら2人の関係が悪くなるかも>。いろんな話できる関係を壊したくなかった。

 とんでもない!!性について、性交について「こんなに大切な話し合い」も出来ないで2人の関係などあったものではない!!

返す言葉を見つけられないでいると、体の大きな彼が「やろうよ」と手を伸ばしてきた。下着を脱がされた。彼はズボンを下げて、覆いかぶさってきた。<どうしよう、どうしよう>。声を出すこともできなかった。彼は膣外射精をすると、「そろそろ親が帰ってくるかも」と言った。<断れなかった>と自分を責めた。ネットで調べると、膣外射精でも妊娠や性感染症のリスクがあると書かれていた。性交から72時間以内に飲めば妊娠を防げる緊急避妊薬があることも知った。
(太字:「子どもへの性暴力」(2022年2月17日(木)朝日新聞)から)

女性の同意がなく強いて性交する事は、女性の尊厳を踏みにじる重大な過失、犯罪行為である。無理矢理性交する男は、女が妊娠するとか、自分も性感染症にかかるなどとは考えてもいない。彼があなたの事、本当に好きだったら、愛していたら、決して無理強いしない。あなたは性交をきっぱりと断る。

 若い女の子(中高生~)はひかり輝いている。男は女の子に近づきたくなる。抱きしめたくなる。そしてやりたくなる。

 「性」について「命、健康、心理、妊娠、避妊、性感染症」など、知っておく事がいっぱいある。「性」について話し合うと、さらに愛おしくなる。もっと対等になれる。「性」は魅力的で、深淵で時に危険で…。「性」を軽く捉えてはいけない。セックス(性交)を単にコミュニケーションの道具にしない。若者たちと「性」について話し合い、考えて、伝えてゆくことが親、教師、そして医師(産婦人科医師)の役割だと思います。

{伝えたいこと}

◎「あかちゃんはどうしてできる?」と聞かれたら~

小学生低学年で、それ以前の年齢でも絵本を見せるなどして当然の事として教える、つたえる

◎「性教育」 小学校低学年生から、理解できる教材を使って、性交、妊娠、出産、育児など伝えて一緒に考える。

小学校高学年生には性感染症、性被害など。月経(生理)、月経困難症(ひどい生理痛)、性衝動についても考える。

(参考文献)

「あかちゃんはこうしてできる」(クヌートセン、北沢杏子)アーニ出版

「恋愛で一番大切な“性”のはなし」(北瀬幸浩)カドカワ

「さわってもいい?」(はまの ゆか)めるくむ

「おとめ 六法」(上谷さくら、岸本学)カドカワ

「初めてのSEX あなたの愛をつたえるために」(河野美代子他)集英社

「さらば、悲しみの性」河野美代子(高文研)

「性と生殖に関する健康と権利(SRHR)」<1944年、カイロ、国際人口開発会議>

「U18M 男性のなやみTOP3にお答えします」U18制作委員会(家族計画協会)

「学校医と養護教諭のための思春期婦人科相談マニュアル」日本産婦人科医会、令和5年度

2023年(令和5年)5月5日母に感謝して 鎌田光一