性教育講座で

 何年か前のこと、市内の中学校で性教育講座を行った。妊娠中絶の話もした。

「赤ちゃんをどうしても産むことが出来ない時には、人工妊娠中絶手術を行う、という方法があります。」

 この講演会のあと、みんなから感想文をいただいた。ひとりの女子中学生から、お返事。

「中絶手術は殺人です!これから育とうとしている赤ちゃんを潰(つぶ)して出してしまうなんて、とても考えられません。許せません。」

 わたしは愕然としました。中絶手術を要求されれば、当たり前として行なっていたからです。性の健康教育を行なって、不用意な妊娠、不幸な中絶手術を極力へらすように努めることは、産婦人科医師の責任そして使命です。

「(赤ちゃんが)出来なければ、誰とやってもいいんだ。」
「出来たら、おろせばいいんだ。」

 とんでもない!!セックス(性交)をそんなに安易に扱わないで欲しい。

「やりたい」からやる、「出来たら、おろせばいい」なんてレベルの問題ではない。愛し合って、こころを開けば股を開いていいわけない。男はやりたいのだ。でも、女の妊娠がわかると、愕然とする。「まさか!…あの時の?おれのせい?」

 2013年度の中絶件数は18万6253件。生まれてくる赤ちゃんの数の5分の1に相当する。このうち20歳未満の中絶件数は1万9359件。20歳未満の中絶件数が2万件弱。
(厚生労働省の13年度の調査による)

いつも避妊している: 女子53.7%、男子53.2%
避妊をしない理由:  「準備していない」、「たぶん妊娠しないと思う」、
           「めんどう」、…

(日本性教育協会の11年の調査による)

性の健康教育

(おじちゃん)

「なほちゃん、しっかりと避妊するには、いつもコンドームを使うか、ピルを普段から服用するのか、のいずれかです。
 男に頼ることなく自分自身で選ぶことが出来るのはピルです。自分の責任で、自分のために、男まかせにしない、自ら選ぶ避妊法。
 ピルは、正しく服用すれば、いちばん確実な避妊法です。ピルは避妊効果に限らず女性ホルモンの作用によって、生理痛を和らげたり、生理日を変更させる事なども可能なお薬です。
 ピルを上手に使って、あなたの生理を管理して、また確実に避妊する手段として、御自分の糧にしてくださいね」